医療従事者・学生の皆さんへ
2004年4月、国際医療奉仕団 ジャパンハート(英語名: International
Medical Volunteers JAPAN HEART)は立ち上がりました。日本には、海外で臨床での医療経験を積んでみたい、あるいは自分の経験を海外の恵まれない人たちのために役立てたいという人たちの心を形にできる組織がほとんどありません。他の組織で海外へ医療派遣された多くの方は、一人の医療従事者として働くよりむしろ指導者や衛生教育などをその責務とさせられることがほとんどです。しかし私が常々申し上げてきましたのは、日本で、臨床の現場で働いてきたものたちが海外での勤務を希望する動機は、貧しく治療を受けられない人たちや災害で苦しむ人たちのために、その手で実際に彼らのために働きたくて、あるいは何らかの援助をその人たちのために差しのべたくて海外へ行きたいのだということです。ましてや日本で臨床現場にいた人たちは、衛生教育や公衆衛生の専門家ではないのです。
公衆衛生的なことをそのような人たちにさせる場合は、あくまで補助的に行うべきだと考えます。近い将来、必ずや日本の多くの医療従事者が海外へ赴くことになるというのが私の見解です。日本の医療はそのレベルにおいてもうほとんど世界の先端にいます。
世界一の平均寿命、世界一低い乳幼児死亡率がそれをものがったています。世界の先端に追いついていないのは、日本人のメンタリティーなのです。アジアはこれからますます勃興します。それは歴史がやがて、アジアでがんばる=世界の中心でがんばる、という図式を与えてくれることになります。しかしながら、現実を振り返りみれば、アジアはまだまだ貧しく、医療現状も憂うべきものがあります。日本の役目は、日本人の使命は大いにあります。これから数十年、アジアの国々にしっかりとした医療制度が敷かれ、その末端まで医療サービスが届けられるその日まで、先にその道を来たものとして我々は彼らを助ける使命を帯びています。
振り返って日本を見れば様々医療問題を抱えています。先を行った我々もまた病んでいます。私がかつていた小児の世界では、年々進む少子化と医師数の増加によって、医師一人当たりが見る患者数は激減し、あるいは執刀手術数が激減し医師たちの臨床能力の低下を招いています。しかし、医療機械・薬剤・周辺医療などの発達により医師は大いに助けられ表面的には自分たちは進歩したように錯覚しています。このような現状を放置すれば近い将来ますます多くの医療問題が起きてくることになります。まず医療従事者自身が医療の原点に帰ること、日本の医療を見直すこと、世界の中の自分たちの相対的な位置を確認することなどを日本の医療界に対する処方箋にしたいと考えています。
援助とは決して一方向的なものではなく、双方向的に働くものだと思います。すなわち、援助することを経験することにより自らも改善されていくということにならなければ、それは援助の根本が間違っているのだと思います。私は医師諸君には是非ジャパンハートを通じて海外へ行かれ、豊かな臨床経験を持ち、或いは多くの手術数をこなし、その経験をもとに日本の患者のために頑張っていただきたいと思います。また看護師諸氏には日本女性が世界に誇るその冠たるメンタリティーの高さを持って途上国の病める人々のために尽くしていただきたい。或いは現地の看護師に影響を与えていただきたいと考えます。その他学生諸氏、或いは社会人の皆さんも何か協力関係が我々と持てれば、是非参加していただきたいと思います。私が皆様に申し上げたいのは次の一言に集約されます。
「道のために来たれ!」
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