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  • 7年前、単身ミャンマーへ渡り、以来現地に身を置き激動の時代を生き抜く。企業・政府・マスコミ等との長年に渡るビジネスを通して培ったスキルや現地・日本の人脈をフルに活かした調査・進出コンサルティングは在ミャンマー日本人の中でも随一である。 Since 2001/1/1
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ヤンゴンプレス3号連載記事 最終回


ヤンゴンプレス3号連載記事 最終回

By 西垣 充


    「西垣さん、フリーペーパーやらないんですか?」

    よく聞かれる質問の1つです。答えはいつでも「やりません」と決まっています。何故やらないのかと言いますと、私がやるべきことではないと思っているからです。

    ミャンマーに20年いる自分だからこそ、できることをする。そういう意味で、フリーペーパーは20年ミャンマーに滞在しなくとも、取材に動き回れる体力と取材力、文章力や編集力、企画力などがあればできるのではないでしょうか。今弊社が行っている長年ミャンマーという地で生活し経営し様々な経験をしていれば、より優位性が出る事業だと確信しています。J-SATの事業は手広いと言われることも多いのですが、何でもかんでも手を出している訳ではありません。「自分にしかできない方法で、ミャンマーの発展に貢献する」という軸の周辺で事業を展開している、実はそれだけのことなんです。

    ミャンマーの発展に貢献するというのは、ミャンマーの国作りをするということ。国作りをするというのは、つまり人を育てるということだと気づきました。人ができてから国が出来上がる、そう考えています。だからこそ、私は人材派遣会社や日本語教育も含めた職業訓練学校、視覚障がい者マッサージクリニックをとマッサージ技術習得システムを立ち上げたのです。

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視覚障碍者マッサージ短期集中コース

    ミャンマーで人材育成をしている会社はたくさんある中、なぜ私がやる必要を感じたのか。彼ら、彼女らは技術を習得するために勉強しているのではなく、その技術を使って働くため、社会で貢献するために勉強していると思います。日本語を覚えても、視覚障がい者にマッサージを教えても、働く場所がなければ使い道はありません。人材育成の後に、彼らに仕事を提供する必要があると感じたのです。そして、その人材育成するための内容は日本と同じやり方では通用しません。ここでなら自分の20年の経験を活かすこともできます。

    この点で、特に海外人材派遣の事業はミャンマーの発展に大きく貢献できる事業だと自負しています。彼らが日本でたくさんお金を稼ぐということ自体も重要ですが、それで終わるのではもったいなさすぎます。彼ら自身が日本でキャリアを積んで、ミャンマーに帰ってきた後にそのスキルを活かして最前線で働く。その結果、ミャンマーの発展に貢献していくことにこそ意味があると思っています。日本企業の特徴は人材育成してくれること。ミャンマーの人に日本という国を選んでもらうためにもこのポイントは大切です。

    その分、職業訓練学校の事業にかける思いは強いです。いままで、いくら才能があって優秀な若者でも、農家に生まれたらその子は農家。お金持ちの子供はお金持ち。それがミャンマーの現実でした。私はこれを変えたいと思っています。優秀だけどお金のない若者に、下剋上のチャンスをあげたい。実際、J-SATアカデミー出身で、日本で半年間働いたお金でミャンマーに家を建てた子もいます。

    日本へ行った学生たちはお金を得て、家族を養うことができる。同時に経験も得ることができて、ゆくゆくはミャンマーのためにもなる。受け入れ先の日本の企業様も、人手不足が解消される。そして、弊社にも利益がある。弊社に利益があるというのは、つまりは弊社の社員、ひいては彼らの家族の生活を支えることができるということです。

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J-SAT Academy 交流会

    海外人材派遣に関わる人々みんなが幸せになれる。これはまさに私が理想とするビジネスです。ただ、そのためには本当に慎重にやらないといけない。きちんと行えばみんな幸せになれますが、手を抜くとみんなが不幸になってしまう可能性もある繊細なビジネスだと思っています。そのために、日本へ送り出した後も日本側の社員がサポートする等「やりっぱなし」にならないように常に意識しています。

    今こうして海外人材派遣の事業に力を入れていますが、これは私自身が何かを残したいと思っている部分も大きいです。人間、どんなにすごいことをしたとしても、年を取ってしまえばみんな同じようになってしまう気がします。どんなことをしたかではなく、何を残したか。何より、自分が生み出したものが大きくなっていくのを見るのは本当に楽しいです。

    自分が生み出したと言っても、もちろん私一人で作ったわけではありません。私は生み出すことは得意かもしれませんが、それを改良したり維持したりするのは、ある意味苦手です。ある意味で社長向きなのかもしれません。今J-SATが成長しているのは、そんな私を支えてくれている優秀な社員たちのおかげです。

    ミャンマーはこれからより多くの日系企業が進出してきて、競争は激化していくでしょう。そうなれば、普通は弊社のような小企業が資金力のある大手企業に敵うわけがありません。しかし、そこであえて勝負できるのは長年勤めてくれているミャンマー人スタッフ達のおかげところです。彼女たちのような弊社が目指すことを理解し共有し、優秀で信頼できる人材は、市場には絶対にいません。ミャンマー人スタッフこそが、J-SATの最大の強みなんです。

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サクラタワー事務所内

    特に、会社がまだ小さな頃から勤めてくれている幹部の方々には、彼女たち自身の人生をJ-SATにかけてもらいました。毎日毎日徹夜をして、泊まり込みで仕事をする。そんな苦労を味わっているからこそ、J-SATは彼女たち自身の会社だという意識も強く、社長の私と同じ目線で会社のことを考えてくれています。

    これから会社が大きくなってスタッフも増えれば、J-SATが彼ら自身の会社だという意識を持つ社員は薄くなっていくかもしれません。正直、これは仕方のないことです。しかし、一見事業とは関係ない事務作業をする際にも、どうか"Raise your dream"という会社理念を忘れないでいてほしい。そんな思いから、最近では月に一回全社セミナーを行うなど、社員教育に力を入れています。しつこいようですが、やはり人材育成が大切だと痛感しています。

    「困っているところにビジネスは発生する」

    私の尊敬する方がいつもおっしゃっている言葉です。今こうやって人材育成を中心に事業を展開していますが、これから5年後10年後にどんな事業をしているかはまだ分かりません。ただ、ミャンマーがこれから発展していく中で困っている人が出てくのは間違いないので、それの手助けになるような事業をしていくのだけは確かです。

     頭の中には、新しいアイデアや事業企画がどんどん出て来ます。私がこの世にいなくとも、ミャンマーの黄金期になると言われる2030年代におけるJ-SATの立ち位置やイメージも湧いてきています。 今はこの人生と環境を生かせて頂いていることに感謝し、その使命を忠実に一つ一つ実現していくだけ。さて、これからどんな使命がやってくるのか。自分自身がワクワク楽しみで仕方ありません。

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全国の大学で行っているキャリアセッション

(C) 西垣 充